インテリアデザインとしてのサインデザインの現場
都市の中でのサインは、そのほとんどが建築物の名称、広告としての看板、交通サイン、注意サイン、案内板、モニュメントなど概略的に大きく分類され、そこを行きかう人々にそれなりに意識されているはずなのに、都市景観からの観点からは、なかなか論じられる機会が少ないのが現状です。
それぞれ個々のシーンに対応して、色彩・大きさ・素材・照明などの指導はあっても、一部の都心を除けば、都市全体としてのサインのあり方に言及することは稀です。
なぜでしょうか?
それはきっと、不愉快な色彩のサインや、なんらデザインされていないサインが存在していたとしても、特に生活や生命に支障がない限り、その人にとって困らないから、という理由からかもしれません。
そして、サインを語る地平がいつまでも不確かで、曖昧なまま手付かずに置き去りにされているからに違いありません。
サインを論じるにも、利害関係を無視しては語れない、のレヴェルです。
しかし、サインはインテリアの一部です。それは室内、室外を問わず、あくまでそこに集い、そこで生活する人々の環境を心地よく演出するものでなければなりません。
すぐれたグラフィックデザインとインテリアデザインの融合、そして環境デザインとしての視点がそこに存在しない限り、サインの位置は、いつまでも不確かなままです。
私たちの作業は、不確かなままのサインの地平を、すこしでも確かなものにすることだと考えます。
それは、不法な看板を撤去するすることが都市景観を保つこと、などという瑣末な景観意識ではなく、生活の中でのデザインのありかた、視覚デザインのありかた、景観環境を変えていくような基本的な視点を持つことではないかと思います。
このことは、やがては都市景観そのものの見直しにまで言及しなければならないかもしれません。
まさに、この点こそ、インテリアデザインとしてのサインデザインが存在しているといってもいいかもしれません。